幸福な人妻の愚痴/その2
(つづき。)ご主人が帰ってくると、ユウコは真っ先にその紙を見せた。「なにこれ?」と聞くご主人に、「遺言」とユウコは言った。「あなた、最近子供欲しそうにしてるから、どうしたらいいかな、と思って」と言って、自分は早めに、40過ぎで死ぬことにしたから、そのあと、あなたは誰か良い女の人を見つけて子供を作ればいい、男の人は幾つになっても作れるから、それなら大丈夫でしょ、と説明した。ご主人は、また突飛な事をと、やや呆れながら「で、40過ぎで死ぬ事にしたんだ!」と言った。「うん、それでね、この紙に遺言として、細かく書いたから」とユウコ。見れば、そこには…。
一つ、テーブルのロウソクが倒れたら、その女はやめとけ。高慢だから。
一つ、トイレでトイレットペーパーがいきなり沢山出て来たら、その女はやめとけ。下品だから。
一つ、いきなり赤いお皿が割れたら、その女はやめとけ。DVだから。
一つ、隙間風も拭いてないのに毛布が捲れたら、その女はやめとけ。浮気性だから。
一つ、ワインのコルクがどうしても抜けなければ、その女はやめとけ。ケチだから。
一つ、…。
長々とこう書いてある。どういうこと?と言わんばかりにご主人が顔を上げると、ユウコはこう付け加えた。「私が死んだ後、新しい彼女をウチに連れてくるでしょ。そうしたら、私が天から見守っているから。万が一、やめといた方が良い人だったら、こうやって色々なサインで私はあなたに知らせるから。大丈夫、安心して。」と。ご主人は、その紙をテーブルに置いて、頭を掻きながら笑った。「いやあ、参ったな。オレ、ホントお前と結婚して良かったよ。だって、お前、面白れぇんだもん。」
ユウコはそれを聞いて、みるみるうちに顔を赤くした。テレたのではない。「なんですって?!面白い?結婚して良かった理由はそれなの?」と怒ったそうな。
「ね、ウチの旦那ってヒドイでしょう?普通だったら、こんな綺麗な人と、とか、こんな優しい人と、とか言って、結婚したことを喜ぶものじゃない?ねぇ?」従姉はそれを聞いて、ご主人がどれだけ良い人かを、そしてユウコがどれだけご主人に愛されているかを知った。こんな愚痴を言えるなんて、なんて幸せな奴だろう。そう思って、相槌をうったが、それすらも、お酒を飲んだユウコは覚えていないのだった。(by Anne)

九月。主人にお誕生日を祝ってもらって、ニコニコご機嫌。この日は私も幸福な人妻の仲間入り。えへへ。
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