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2007年11月

2007年11月30日 (金)

幸福な人妻の愚痴/その2

(つづき。)ご主人が帰ってくると、ユウコは真っ先にその紙を見せた。「なにこれ?」と聞くご主人に、「遺言」とユウコは言った。「あなた、最近子供欲しそうにしてるから、どうしたらいいかな、と思って」と言って、自分は早めに、40過ぎで死ぬことにしたから、そのあと、あなたは誰か良い女の人を見つけて子供を作ればいい、男の人は幾つになっても作れるから、それなら大丈夫でしょ、と説明した。ご主人は、また突飛な事をと、やや呆れながら「で、40過ぎで死ぬ事にしたんだ!」と言った。「うん、それでね、この紙に遺言として、細かく書いたから」とユウコ。見れば、そこには…。
一つ、テーブルのロウソクが倒れたら、その女はやめとけ。高慢だから。
一つ、トイレでトイレットペーパーがいきなり沢山出て来たら、その女はやめとけ。下品だから。
一つ、いきなり赤いお皿が割れたら、その女はやめとけ。DVだから。
一つ、隙間風も拭いてないのに毛布が捲れたら、その女はやめとけ。浮気性だから。
一つ、ワインのコルクがどうしても抜けなければ、その女はやめとけ。ケチだから。
一つ、…。
長々とこう書いてある。どういうこと?と言わんばかりにご主人が顔を上げると、ユウコはこう付け加えた。「私が死んだ後、新しい彼女をウチに連れてくるでしょ。そうしたら、私が天から見守っているから。万が一、やめといた方が良い人だったら、こうやって色々なサインで私はあなたに知らせるから。大丈夫、安心して。」と。ご主人は、その紙をテーブルに置いて、頭を掻きながら笑った。「いやあ、参ったな。オレ、ホントお前と結婚して良かったよ。だって、お前、面白れぇんだもん。」
ユウコはそれを聞いて、みるみるうちに顔を赤くした。テレたのではない。「なんですって?!面白い?結婚して良かった理由はそれなの?」と怒ったそうな。
「ね、ウチの旦那ってヒドイでしょう?普通だったら、こんな綺麗な人と、とか、こんな優しい人と、とか言って、結婚したことを喜ぶものじゃない?ねぇ?」従姉はそれを聞いて、ご主人がどれだけ良い人かを、そしてユウコがどれだけご主人に愛されているかを知った。こんな愚痴を言えるなんて、なんて幸せな奴だろう。そう思って、相槌をうったが、それすらも、お酒を飲んだユウコは覚えていないのだった。(by Anne)
ニコニコ
九月。主人にお誕生日を祝ってもらって、ニコニコご機嫌。この日は私も幸福な人妻の仲間入り。えへへ。


2007年11月29日 (木)

幸福な人妻の愚痴/その1

面識のない人の話をしても良いだろうか?先日従姉から、従姉の友達の話を聞いて、ヘェと思ったのでメモしておきたくなった。とはいえ皆さんは、従姉をはさんで、さらに私をはさんで聞く話だから、実話も結構脚色されることになると思う。とだけ断っておこう。
従姉の友達のユウコ(仮名)は、とにかく元気がいい。お酒を飲めば笊で、さらにバワーアップする。大きな声で飲んでる相手を褒めちぎるから、従姉は迷惑ではないかとお店の目を気にすることもあるそうだ。なので、彼女からの誘いが来ると一瞬ドキッとするそうだが、やっぱり楽しい人なので会いに行く。しかしユウコは毎度のことながら、一緒に2時間飲んで話した内容は全く覚えていない。何のために話をしたんだろう?従姉は骨折り損のくたびれ儲けだと項垂れる。しかし、また誘いが来ると、楽しいからと出かけていく。つい最近も、また会ったそうだ。やっぱり翌日のメールには、「何話たっけ?」とあったそうだ。従姉はやれやれと思いながら、「幸福な人妻の愚痴を聞いてたわよ!」と返したのだった。
従姉曰く、ユウコとは青山のレストランで会うことになっていた。ユウコが到着して従姉の顔を見るなり、「もう、聞いて!ウチの旦那ったらヒドイのよ」と始めたそうだ。「どうしたの?」と、極めて落ち着いた声で従姉は返し、聞く姿勢に入った。ユウコは女子校時代から優秀でスポーツ万能で、学級委員を努める位のみんなの人気者。4人姉妹の末っ子だったから、ずっと上をみて育ち、要領が抜群に良くなったという。その彼女が結婚したのはもう10年以上前のこと。当時、誰よりも早く結婚したのを、周りは「当然よね、ユウコだもん」と言う人もあれば、「あれだけ出来る人なんだから、まだ結婚しないで仕事に生きたらいいのに」と言う人もいたようだ。何よりもみんなが心配したのは、楽しい人だけに、彼女の奔放振りだった。大丈夫かしら?旦那さん、そのうち引いちゃわないかしら?と密かに思っていたのだった。「ウチの旦那ったらヒドイのよ」とのっけから言うから、とうとうその日がやってきたのかと従姉は思い、あまりドラマチックにしては可哀想だから、極めて冷静に「どうしたの?」と言ったのだった。「ほら、私、子供いらないって前から言っていたじゃない?」とユウコは切り出した。結婚当時から子供を欲しいと思ったことがなく、ご主人にもそう常々宣言していたのは従姉も良く知っている。自分は末っ子で、要領良く全てをこなしてきたから、子供ができたらどうしても最初の子の要領の悪さにイライラしてしまうだろう、という理由で欲しくないそうなのだ。とても優しいらしいご主人は、ニッコリ笑って「いいよ」と同意しているものの、最近は欲しい様子をチラつかせているようだ。それを見て、さすがのユウコもご主人を不憫に思ったらしく、ご主人が留守の昼間の長い時間、どうやったら自分が子供を持たずに、そして彼に子供を持たせられるか、という考えを巡らした。居間のテーブルを拭きながら、トイレの掃除をしながら、食器を洗いながら、シーツを替えながら、料理をしながら。そうしていると色々な案が思い浮かんだ。ユウコはせっかくの案を忘れないように、と次から次へとメモを取り、一枚のリストを作り上げたのだった。つづく。(by Anne)

2007年11月28日 (水)

柿と白菜、案外仲良し

晩秋を迎える今日このごろ、そろそろ柿のシーズンも終盤に入った。もうこの頃になったらめったに未熟な柿にできわすことはないだろうと思っていたのだが、デリバリで届いた先日の柿は、そういう品種なのかやたら固くて甘みに欠けていた。朝食中に、皮を剥いてフォークで突いて齧っていたが、寝ぼけた頭がだんだん冴えてきたら、なんだかつまらないもの食べているなぁと思い始めた。齧りかけの柿をマジマジと見つめてみると、色は淡いオレンジで、黒の斑点ははっきりとしていて、見るからに固そうだった。だもんで、そのまま食べ続けることをあきらめ、残りをラップに包んで、考えた。どうしよう、この柿。普通にフルーツとして生で食べるのには、ちょっと違う。煮込んでしまおうか?フルーツが熟れ過ぎた場合は良いかもしれないけど、熟してないときはどうかな?しかも柿よね?柿のジャムなんて聞いた事無い。やっぱりもっと確実なアレンジ法にしよう、と思った。渋谷ののれん街の漬け物屋さんに、蕪と柿の浅漬けみたいなものがあったな。あれのマネをすれば、きっとヘタなことにはならないだろう。そこで、ウチの冷蔵庫を開けてみた。しかし蕪はなかった。そこで白菜にした。芯の部分、あの白くて固いところなら、ま、蕪みたいなものでしょ、と。白菜を太めの棒状に切って、ボウルに入れ、塩もみをして水分をきっておく。そこに短冊切りにした柿を混ぜて、お酢(米、林檎、梅、なんでも)と昆布茶少々と、醤油ほんの少々で味をつけてみた。タッパーに入れて、しばらく冷蔵庫で眠らせて。ふーん。柿と白菜、案外合う。他にも、この柿をふつうにグリーンサラダに入れて、フレンチドレッシングで頂いてみたりもしたが、おいしい!ちなみに、熟れてない洋梨は、クレソンだけのサラダに入れて、フレンチドレッシングをかけて食べるべき。ラムチョップと一緒に、友達のリザが出してくれた時は、あまりの美味しさに早速翌日作ろうとスーパーで未熟の洋梨を探してみた。しかし、どの洋梨も素晴らしく熟れて美味しそうだったので断念。次にスーパーに行った時は、幸い熟れていない洋梨を見つけたが、クレソンは無かった。というわけで未だに、そのサラダを作れた試しがない。幻のサラダだ。(by Anne)

柿と白菜
私はタッパ−で少し眠らせたが、漬け物の重石やプレスなどを使っても。


2007年11月26日 (月)

ワインボケ症候群/その2

(つづき。)ボジョレー会を開くからと、『フェロモン』から一斉メールがきた。『フェロモン』とは、ワイン会で隣に座ると男であれ女であれ必ず手を膝に置いて、気のある風を装う、イタリア人も顔負けの色女だ。メールには、今回集まるメンバーと場所と時間が記されてあり、最後に「誰か誘いたい人がいたら、適当に転送してネ」と加えてあった。メンバーのリストを見ると、仲の良い数人が欠けている。きっとフェロモンは、彼らのメールアドレスを持っていなかったんだ、と思って、私はこう返事を送った。勿論、全員へ返信で。「Sちゃんと、M君と、Tちゃんにも声かけても良いかしら?」。しかし待てど暮らせど返事は来ない。翌日になってやっとフェロモンから「Sちゃんには声かけました」という返事が来た。しかし、それだけ。M君とTちゃんに関しては一切触れていなし、他のメンバーからの連絡もない。当日になってもまだない。おーい、誰か!返事してくれぇ!でも、ない。これは、何かあったに違いない、と私は思った。メンバーの誰かが、M君かTちゃんと喧嘩をしたか、顔を合わせたくないか、いずれにしても気まずい事が起こっているに違いない。こんなこともあるものだなぁ。それにしても珍しい。この旧クラスメイトのグループはみんな仲が良くて、というより、恐らくワインを一緒に飲めさえすれば楽しくなっちゃうような単細胞の集まりだから、もう3年になる付き合いだけど、未だに誰かと誰かの不仲説を耳にしたことがなかったのだ。まあ、人間だから、たまには顔合わせたくない気持ちになるものよね、と納得して、残りの2人には声をかけず、私はボジョレー会へ出かけた。レストランに着くと、奥からフェロモンが手を振って合図をしてくれた。私はコートを脱ぎながらみんなを見回して、「ね、ね、何かあったの?」と聞いた。「何かって、何?」とフェロモン。「喧嘩したの?」と私。みんなキョトンとしている。「M君とTちゃんにも声かけて良いかって聞いても、誰からも返事なかったから、だからきっと、と思って誘わなかったんだけど」と伝えた。「えぇー!」みんなは目を丸くして私を見つめた。てっきり私から連絡が回っているものだと思っていたそうだった。私の質問が、あまりに当たり前すぎたのだった。せめて「良いに決まってるじゃん」とぐらい返事をしてくれても良かったのにぃ、とブーブー言ってみた。「まあ、まあ、」という声が聞こえて、私にボジョレーが注がれた。これを待ってました!私はにっこり。まったくみんなワインを飲む事しか頭にない、ワインボケ症候群に違いない。
とはいえ私も、そんなことを言って呆れていれる立場じゃない。先日、勝沼へ行った帰りのこと。勝沼にホレ込んで、大量のワインを買ってしまったから、カメラマンさんが車でウチの前まで送って下さった。夜八時。私は車から降りると、カメラマンさんと一緒にワインを家に運び、全部間違いなく運びきったかを確認をした。うん。確かに全部ある。私は、彼に深々とお礼を言って、走り去る車に手を振った。さてと。どれを人にプレゼントしよう?どのワインから飲もう?私はボトルを並べて、勝沼の葡萄畑を思い出しながら、あれこれ考えていた。するとピンポーンとベルが鳴った。こんな時間に誰だろう?もう九時過ぎだ。私はインターフォンに出て、「はい」と冷たい口調で言った。聞き覚えのある名字が聞こえた。誰だっけ?思い出すのに数秒かかった。あ、カメラマンさんだ。ワインのことで頭がいっぱいで、彼の名字もすぐに思い出せなかったことに可笑しくなって、半分笑いを堪えながら、玄関のドアを開いた。思わず私は吹き出した。目の前に、私の旅行鞄が置いてあるではないか!私は、自分の旅行鞄をすっかり車の中に忘れて、そのままウチに帰っていたのだった。「僕も気付かなかったよ。ワイン運んだら安心しちゃってね」と、カメラマンさん。一本も残さず運ばなきゃって、必死になって。この季節、みんなしてワインボケだ。(by Anne)
カベルネ・ソーヴィニョン
勝沼から少し離れた万力という所にある畑のカベルネ・ソーヴィニョン。金井醸造場の金井さんが育てたものだ。ビオ。一人で収穫から販売まで手がけているから、収穫しきれないこともあるのだそう。まだ枝にぶら下がっていた。葉っぱがまばらに赤く染まっていて綺麗。

2007年11月22日 (木)

ワインボケ症候群/その1

季節がらか、いつにも増してワインを飲む機会が多いこの頃。昨晩も、ワイン学校の旧クラスメイト2人と共に、あっと言う間にシャンパーニュを2本空けてしまった。旧クラスメイト2人とは、「アイドル」と「ビー玉」。「アイドル」は初級のクラスで一緒だっただけで、ひとりだけあれよという間にソムリエ試験のエキスパート資格を取得して、みんながモタモタと受験勉強をしていた最中には、すでにワイン学校の講師になっていたという、トロリとしているのは見た目だけの相当な頑張り屋さんだ。トロリとして儚げな雰囲気の美人。アイドル的な人気講師にとうとうなったらしいよ、と旧クラスメイトの間で噂をしている。「ビー玉」の方は「私はワインを楽しみます」主義に徹底して受験はせず、みんながシャトー名を暗記していた最中には浴びるようにシャンパーニュを飲んでいた、大の泡好き。大きなビー玉のような美しい眼を輝かせて、誰の話にも丁寧に相槌を打つ彼女を見ると、まるで「ナントカの品格」のお手本だわ、と思うのだ。当然メンズからのお誘いは絶えなかったが、「彼がいなくて本当に困ってるんです」と丁寧に告白する彼女に、みんなで「ウソだァ〜!」と反応した覚えもある。一体どんな彼ができるのだろうとみんなの注目の的だった。その彼女が今年結婚をした。「意外!」だとか、「やっぱりね!」だとか、みんな好き好きにコメントしたが、そろって祝福した。昨晩はご主人の留守中に、「ビー玉」が新居でシャンパーニュでも飲みましょうよ、と招待してくれたのだった。日時を決めるべく、「アイドル」と「ビー玉」と私で、携帯のメールのやり取りをし始めたのだが、私は散々な目に合った。「うちにあるシャンパーニュを飲んで、それから外にでも食べに行く?」と、ビー玉。「そうね、シャンパーニュは良いのがあるから持って行くわ」と、アイドル。「じゃあ、私はクラッカーとかイチジクとかを持って行くわね。で、何時にどこへ行けば良いの?」と、私。「クラッカーやイチジクはあるから大丈夫よ。じゃあ、シャンパーニュ2本飲むことにしましょう」と、ビー玉。「あら、じゃあ、シャンパーニュはお二人に任せるので、あとでワリカンね。で、何時にどこ?」と、私。「藁に包まれたとっておきにシャンパーニュなの。お宅拝見できるの楽しみにしてます」とアイドル。「準備は十分できないけど、お腹空いたら適当にしましょう」と、ビー玉。「素敵!適当にしましょう。で、何時にどこ?」と、私。何時にどこ?何時にどこ?何時に…?一体私は何時にどこへ行けば良いの?おーい!だれか答えてくれぇー!私は途方に暮れた。何度メールを2人に送っても、返ってくる返事は飲み物とおつまみと食事の事だけなのだもの。その返事は昨日の午後になって、ようやく届いた。そういえば、先日ボジョレー会をやった時も私は散々な目に合った。つづく。(by Anne)
アンドレ・クルエ
アイドルが選んだシャンパーニュ。『アンドレ・クルエ ブジー 1911』。20世紀最高のシャンパーニュの当たり年1911年にちなんで、当時風のパッケージングをほどこして藁に包まれたもの。中身は90年代のブレンドで、ピノ・ノワール種だけで造った、ブラン・ド・ノワール。と、コメントしてくれた。ビー玉お手製の、イタリア風クラッカーと共に。


2007年11月21日 (水)

ペルセポリス

ペルセポリス

ジャジャーン!これが『ペルセポリス』だ。試写の案内を頂いた2ヶ月前からずっと、「ペルセポリス」って知ってる、聞いた事ある、なんだったっけ?と気になっていた。しかもカタカナ読みではなく、あの喉に痰が絡まったようなフランス語発音の、「persepolis」が鼓膜に残っていたのだったから、余計気になっていた。ってことは、東京じゃなくて、パリで聞いた言葉の筈よね?なんだか気になりつつも、そのままにしていたが、最終試写が近づいている事に気付き、慌てて観に行った。12月22日渋谷シネマライズにて公開される作品で、イラン人の女の子が主人公のモノクロ・フレンチ・アニメーション。そう紹介されると単純に地味めかな、と思ってしまっていた。しかし、オオ!地味とか派手とかどうでもいい、素敵すぎる作品!幸せに恍惚として、私はジャスミン畑の上を跳ねるような気持ちで家まで帰った。門の前に着いて、鍵をポッケから出した時、やっと思い出した。「persepolis」、「persepolis」、「persepolis」…。痰が絡まったようなRの発音でそう唱えていたのは、妹だった。パリの地下鉄で。「アンヌ、これ知ってる?」、「なあに?」、「"Persepolis"」、「ふーん。なんなの?」、「マンガ」、「ふーん」、「イランの」、「ふーん」、「この女の子、かわいいの」、「ふーん」、「すっごい良いから、アンヌも読みな!」、「ふーん」。そうだった、こんな会話をしたのだった。『ペルセポリス』はそもそも、妹はマンガと言ったけど、グラフィック・ノベルで、現在16カ国語に翻訳された世界的ベストセラーだ。それを映画化したものが、今回公開される作品。作者のマルジャン・サトラピが、大人になるまでの半生を、イランとヨーロッパを舞台に、とにかくブラックでチャーミングなユーモアを満載させて描いている。イランでは革命や戦争を、留学先のウィーンでは文化の違いと孤独を、帰国後も孤独と矛盾を経験する少女マルジ。笑ったり怒ったり、いたずらをしたり叱られたり、反発したり同調したり、恋したり失恋したりしながら、大好きなおばあちゃんが常に言っていた言葉の意味を理解していくのだった。「いつも公明正大でいるんだよ」。歯に濡れ衣をきせないトークとモダンな考え方で、常にマルジを支えてきたおばあちゃん。朝ジャスミンの花を摘んでブラジャーに入れておくと良い香りがするとも教えてくれる。こんな素晴らしいおばあちゃんがそばに居たなんて、羨ましいくらい。イランって遠いと思っていた。けれど考えている事って、そう変わらない。恋をしている最中は王子様と思っていても、失恋した途端に、「オエーッ!なんであんなヘッポコが良かったのかしら?私ってホント、バカだったわ!」って。急にドブサイクに見えたりして。フフフ。あーあ、妹が地下鉄で勧めてくれた時、なんで「ふーん」ばっかり言ってすぐに読もうとしなかったんだろう?でもいくら趣味が似ているからといって、先生じゃあるまいし、なんでもかんでも言う通りにする訳ないか!先生の言う事だって聞かなかったものナ。マルジみたいに。でも、妹の言う事を聞かなかったからこそ、今回『ペルセポリス』を観ての感動だもの。(by Anne)
Persepolisチラシ
2007年カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作品『ペルセポリス』は、12月22日渋谷シネマライズにて公開。監督はマルジャン・サトラピ&ヴァンサン・パロノー。声優には、カトリーヌ・ドヌーヴ、キアラ・マストロヤンニ、ダニエル・ダリュー、と豪華。まるで、イラン版社会派『アメリ』だ。私の2007年ベスト・ワン。

2007年11月19日 (月)

旅の前と宴の後

先日、朝起きていつものようにリビングに行った時、あっと思った。テーブルの上に、デザートフォークとタルトの残り、飲み干されたコーヒーカップ、クシャクシャになった紙ナプキン、ワインが少し残ったグラス、コルクと栓抜き、少々のタバコの灰、が無造作に置いてあった。どんよりとした部屋の空気を、カーテンから差し込む朝日が照らしている。あっ、私、これが好き!と思ったのだ。カーテンを開け、部屋の空気を入れ替えて、やかんに火をつけ、お湯が沸騰するまでの間、椅子に座って頬杖ついた。昨夜の宴の雰囲気が残っている。従姉と主人の親友が来て、4人でワイワイ。私は1時頃、眠いからと勝手に寝室に入ってしまったが、その後も3時頃まで3人は話に華を咲かせていたようだった。楽しかったことを彷彿とさせる、片付けきれなかった諸々をぼんやりと眺めた。友人をお招きするのは好きで、その準備はワクワクする。宴の最中も、勿論楽しんでいる。でも、多分、なによりも好きなのは、この宴の後。みんなが帰った後、翌朝になって片付け物を見る時かもしれない。過ぎ去った楽しい時を、もう一度噛み締めるように思い出すと、でもそれは過ぎ去りし時となって、少し切なさを帯びる。なんとも言えない複雑な幸福感を私は味わうのだ。宴の後でも前でもなく、その最中を一番楽む方が普通なんじゃないかな?なんて考えていると、従姉の顔が浮かんだ。そういえば、彼女はもっとヘンだ。
彼女は大の旅好き。数週間前に友人のご主人が仕事で行けなくなったからと、代わりにニューカレドニアに行ってきた。勿論旅費はタダ。そんなラッキーな話が彼女の元へ転がり込むから、旅運も相当良い、と判断する。ウチに来た彼女は真っ先に小麦色に日焼けした筋肉質の足を見せて、楽しかったわよーと話しているが、彼女がもっと楽しんだのは、旅行中ではないのを私は知っている。「何が楽しいって、旅行へ行く前なのよ」と以前に言っていた。あそこへ行って、ここへ行って、とガイドブックを嘗めるように読みながらプランを立てるのが最高の楽しみなのだと。「万が一旅行に行けなくなったとしても、それでも良いって思う位よ」と加えた従姉を私は、道ばたで逆立ちをしている人くらい奇妙だと思った。奇妙を通り越して気の毒な人もいた。私がまだ幼く、頻繁にウチと他数家族で海に行ったり山に行ったりしていた頃の事。ある家族の子供が、海や山やプールに着くやいなや、「帰りは混まない?」、「夕食の買い物はできる?」、「夜遅くになったどうしよう?」などと言い始る。必ずそうだった。その子は一日中心配をして過ごしていたのだった。
お湯が沸騰し始めた。私は立ち上がって、紅茶を入れた。主人がダルそうに起きてきて、「いや〜、昨日、あんな事言ってたね」と笑ってる。ああ、始まった、始まった。主人は必ず翌日、前の晩の出来事の一部始終を事細やかに話すのだ。とっても楽しそうに。どうやら、主人も「宴の後」派のようだ。(by Anne)

宴の後
宴の後にはこんなものがテーブルの上に散らかっている。これを見たとき、また楽しくなる。ちなみに全く関係ないけど、三島由紀夫の『宴のあと』の「宴」とは選挙のこと。選挙の後の主人公達の、恋愛感情の移り変わりがクライマックス。

ドンペリ1995
この晩は、従姉が頂きものの『ドン・ペリニョン 1995』を持って来てくれた。口に含むと、後から何重にも細かい泡が、いつまでもシュワシュワと追ってくる。こんな泡を味わったのは初めてだ。

2007年11月17日 (土)

2007.11.17

ボジョレーヌーヴォー解禁!
イチゴの香り、ラズベリーの香り、バナナの香り…。
昨晩、調子にのって飲んじゃって、
今日は夜までsaboriday。
(by Anne)
ボジョレヌーヴォー
ラブレ・ロワの一番搾りのボジョレー・ヌーヴォー・ヴィラージュで、ノンフィルター。『青山ワインホール』にて、ワイン友達10人とシェア。もう、大騒ぎ!

2007年11月14日 (水)

灯台下暗し

灯台下暗しとは、良く言ったものだと思った。日本には本当に素晴らしい醸造家が居て、素晴らしいワインを造っているんだ、と知ったのは、勝沼へ行ったから。やっぱりフランスワインが好き、と常々思っていた私に、新しい風が吹いたのだ。ワイナリーを巡って、2日間でおそらく60種類以上のワインをティスティングした。どれも、それぞれ美味しかったし、印象に残ったものは沢山あった。例えば、日本のワインの色合いって、時々蛍光色のようなものもある。見慣れていなかっただけに、金井醸造場の金井さんが注いでくれたワインを見て、内心、ギョッとした。ロゼでも、蛍光ピンク色だ!「これはね、ちょっと変わっていて、ピオーネから造ったんです」という彼に、私は眉間に皺を寄せまいと必死。食用の品種からワインを造ることさえ、フランスワイン贔屓だった私は、邪道なんじゃないの、と思ったからだ。無知のくせに偉そうに。香りも葡萄ジュースみたいに甘ったるいに違いない。恐る恐る鼻を近づけてみた。「あ?ふーん!良い香り」。たしかに甘いピオーネらしい香りはあるけれど、ほのかに香る程度で、オレンジのような柑橘系の香りもしたのは以外だった。味わってみると、びっくり。「何コレ、美味しい!」私は即座にこの『caney』というワインを購入した。そしてウチに戻ると早速開けてみた。やっぱり一口一口が味わい深い。全くの辛口ワインで、口に含むと、ほんのわずかにフワッと巨峰の果実の甘い香りが上ってくる。一口一口があまりに美味しいので、あっという間に一本空けてしまった。お隣の県にこんなワインがあるなんて。多分、私が今までに飲んだロゼの中でダントツ一番だ。なにもバントールやアンジュを買わなくてもいいのかも?(by Anne)
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『caney カネーロゼ 2007』金井醸造場にて。1600円。

2007年11月 5日 (月)

十人十色

K子のお母様にたまたま駅で会った。ホームで電車を待つ間、世間話が尽きると、「あの子はねぇ…」とK子の話を切り出された。K子とお母様は仲が良く、親から野放しにされている私にとっては考えられない位いつも一緒なのだ。お母様にとっては娘が可愛くてしかたがない、といった風にいつも娘を思いやっていて、そんな母と過ごすのが一番ラクだとK子の方は思っているように見える。「あの子はねぇ、あまり積極的じゃないからねぇ。」お嫁に行かないどころか、長らくボーイフレンドの陰も見えない娘を哀れんでらっしゃるようにおっしゃった。「ええ、ええ」と私は肯定するでも無く否定するでもなく、頷いた。「人はね、華が訪れる時期はそれぞれなんだから、あなたにもいつかやって来るから、焦らなくてもいいのよ、って言ったの」。尤もだ。そう思った私は深く頷いた。「だからね、あの子の事分かってあげてね」。そうお母様に言われて、「ええ、勿論です」と答えて、電車に乗ったものの、なんかヘンだな、と夜になるまで思い続けていた。寝る前になってようやく、先日友達の「趣味の良いチンドンヤ」と私で、K子に「好きな人居ないの?不思議ね」なんて言ちゃったせいだと、意味が分かった。私達は、大して深い意味もなく、不思議ね、と言っただけだったのに、傷つけてしまったようだった。悪かった。でもヘンな気分になったのは、傷つけてしまったからではなく、お母様の「分かってあげてね」が、まるで小学生を虐めた中学生を叱るような調子だったからだ。私は可笑しくなって、「趣味の良いチンドンヤ」に、お母様とのホームでの一部始終を話した。「人はね、華が訪れる時期はそれぞれなんだから…」のくだりを話すと、彼女は大声で「いいわねー!!」と叫んだ。「いいわねー、そんな優しいお母さんで!私の母なんか、私にボーイフレンドが居ないとなったら、ものすごく怒るわよ。『なんですって?この私の娘が、ボーイフレンドが居ないですって!何てことかしら!』って言って、きっと勘当ね」。ああ、そうそう、ウチの母も「華が訪れる時期…」なんて言いっこない。渡仏した14歳の当時、まだ言葉も友達もできなくて、休みの日はいつも母達と過ごしていた私に向かって、こう言ったことがあったな。「あなた、いつまでもお母さんにくっついてばかりいないで、ちゃんとボーイフレンドをつくりなさい」。14歳の私は項垂れた。「そんなむちゃな!」しかし、しばらくして「悔しいからデートしてやる!!」と勇んだような、朧げな記憶がある。人はそれぞれ、母もそれぞれだ。(by Anne)

秋紅葉
少し秋らしくなってきた東京だが、紅葉はまだまだ。山のモミジは見頃だ。


2007年11月 3日 (土)

2007.11.03

山の紅葉はもう真っ赤。
今シーズン、初めて焚いた薪ストーブから、
離れられないsaboriday。
(by Anne)

薪ストーブ

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