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2007年12月10日 (月)

サン・ジャックへの道

ヘア&メイク中っていうのは、私にとって結構貴重な情報収集の場だ。けれど、真剣な話はしない。むしろ他愛ない話をする。ヘアとメイクを真剣にやってる最中に真面目な話で気を散らせる訳にはいかないからだ。それに初対面の場合も多いし、真剣な話をしちゃって意見が対立したら、場の雰囲気がオジャンになっちゃう。だから、他愛ない話をヘア&メイク中にするんだ。と、私は勝手に解釈している。慣れない頃は、他愛ない話をするのが苦手だった。アホ真面目の石頭だったから、きちんと意見を纏めてから発言しないと相手に失礼だわ、とキュッと口を結んでいた。さぞヘンクツな子に見えただろう。けれど、次第に慣れてくると、「そうかも!」と自分の中ではっきり意見が纏まってなくても相槌できるようになったし、他愛ない話もできるようになったと、自負している。そうこうしていると、真面目な話の中にしか良い情報は無いと思っていたのは、とんだ間違いだったことに気付いた。このヘア&メイク中の、柔らかい会話の中には美味しい美味しい情報がぎっしり詰まっているのだった。いつだったか、しばらく振りに会ったあるヘア&メイクさんが、アイシャドウの色を選びながら「まだ車、ランチア乗ってるの?」と聞いてきたので、驚いた。前回メイク中に話した事をよく覚えてくれているなあ、と。しばらくして、「最近、どんな映画観た?」と聞いてきた。私が映画が好きだということも覚えてくれている。嬉しかった。それから、自分が観た映画の話をした。勿論メイク中なので、事細かに真剣にはなしてくれたわけじゃないし、第一タイトルも怪しかった。「なんだったっけなー。この間、観たよ。変なフランス映画。なんか変なんだよ。面白いんだけどさ。『サン、なんとか、の道』とか言ったっけな。キリスト教のさ、聖地をみんなで歩いてって、スペインまで行っちゃうっていうやつ」という口調で。私は「ヘー、面白そう」と言った。何が面白いのかはあまり分からなかったけど、面白いというから面白そうだと思ったのだ。それに、メインストリームな映画が好みそうなイメージの人だけに、巡礼ものの映画なんて地味そうな映画を評価するところをみると、よっぽど面白くなかったらそうは言わないだろうと思った。それからしばらくして渋谷の映画館で『サン・ジャックへの道』と書いてあるチラシを見かけた。ああ、この事だ、と思ったがなんとなく観る気がしなかった。けっこう日が経ってからTSUTAYAに行ってみると、DVDがレンタルであった。レンタルなら観る気になった。それから、108分間、私はゲラゲラ笑い、ちょっと泣いて、終わるころにはもの凄くご機嫌だった。「さっきサイコーに良い映画を観たのよ」と深夜に帰って来た主人に言って、「ちょっと観てみない?」とまたDVDを回した。続けて二回みてもまったく飽きなかった。もし観逃していたら、私はうっかりとんでもない楽しみを逃すところだった。ヘア&メイク中の他愛ない話。でもとっておきの情報が得られるものだなあ。(by Anne)

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