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2007年12月21日 (金)

官能的なパプリカ/その2

(つづき)。一昨日も、その自慢の「私のピーマン」が大きなお皿に盛られて、テーブルの上に置いてあった。お客様は3人。それに母と儘父と妹と私のディナーだ。みんなが着席して、数種類の前菜を食べ始めた時。写真家のグレッグが、真っ赤に輝くピーマンを指差して、控えめな声で「これは何?日本料理?」と聞いた。その途端、妹と私は顔を見合わせて、ゲラゲラ大笑い。グレッグはおかしな質問をしてしまったのかと、一瞬気の毒にもバツ悪そうな様子を見せたが、あまりに私たちが笑っているので、むしろ好奇心の方を駆られ、「何?何?」と訳を知ろうと積極的だった。「あのね、アハハ、母ってね、こんな事がしょっちゅうあるのよ、アハハ」。大きな声で、妹が説明すると、「母」という言葉に反応したらしく、別のお客様と話していた母がクルッと顔をこっちに向けて、母親を馬鹿にするんじゃないと言わんばかりに「何?何?何よ。何なのよ」と意気込んだ。その反応にも、妹と私はまた大笑いした。母は呆れて、「もうね、ウチの娘達は私をからかうことが、唯一の楽しみなのよ」とお客様に説明し、「だから、『良かったわね、こんな面白いお母さんで』って言ってるの」と加えた。どうやらグレッグに、母を揶揄した話をしてたと思ったらしい。まあ、そう思ったとしてもおかしくない位、母の言う通り、頻繁にからかっているのだが。しかし、この時ばかりはそうではなかったから、またゲラゲラ笑った。私が、「いや、そうじゃなくて、グレッグがこの赤いピーマン見て、これは日本料理かと聞くからさあー」と説明すると、「ああ!」とすんなり納得して、彼女も笑った。これには、訳がある。母と妹と私がどうしても理解できない、「フランス人の七不思議」というものがあり、そのうちの1話がこれだ。母には、数々の得意なフランス家庭料理がある。例えば、コトゥレット・ドゥ・ヴォー(子牛のクリーム煮)やラタトゥイユ(夏野菜の煮込み)やロティ・ドゥ・ポール(豚のロースト)などなど、典型的なフランス家庭料理。それをお客様の時に出すと、フランス人はみんなこう言うのだ。「美味しそうな日本料理だね」だとか、「日本にもこんな料理があるんだね」だとか、ヒドい時は食べた後に「和風のラタトゥイユだね」だとか。お醤油を入れているわけでも、牛蒡を入れているわけでも、豆乳を入れているわけでもないのに、だ。フランス家庭料理のバイブルである『タント・メリー』のレシピと同じと言って良いくらい、伝統的な作り方をしているにもかかわらず、どうしてもフランス人にとっては、作った人が日本人だと、料理の見た目も味わいも、ジャポネになってしまうようなのだ。だから母の作ったイタリア風ピーマンの前菜も、日本料理に見えたグレッグを、またここにもあの不思議な発言をするフランス人がいた、と妹と私は笑ったのだった。今回ばかりは、母を揶揄したわけではなく。(by Anne)
Roses
お客様するのに、殺風景では、と買ったバラ。

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