春うらら、うわの空/その2
(つづき)。安心したのは、それなりの訳がある。昨年だったか、その一昨年だったかの春、私はそうとうトンチンカンなことをしていたからだ。今となってはsuicaをお財布の中に入れて、それまた鞄の中に入れて、改札を出る時に、ポンと鞄ごと指示されて場所に置けば、「ひらけごま」でスルーできるから、もうあり得ないだろう。しかし、その春はまだ私はパスネットを使っていて、旧定期券のように、改札口の機械に差し込み、反対側から出てくるのをピックアップして外に出ていた。行きは、あそこで乗り換えて、あそこの駅で降りれば丁度良い、とか、帰りは、あと人参を買えば良いだけ、帰ったらまず洗濯物を、だとか考えながら、私は改札口の前まで来ると、鞄の中に手を突っ込み、パスネットをつかんで、機械に差し込む。機械に差し込もうとして、私はハッとするのだ。差し込めない!と。よく見ると、それはウチの鍵なのだ。その頃、それはしょっちゅうだった。そして私は、ああ、まただ、とため息をついて、今度は正真正銘のパスネットを取り出して、しばしまごついたものの、改札口を無事スルーするのである。「なんで鍵を取り出しちゃうんだろう?」「春だからかしら?変だわ〜」、「さてと、人参は買ったから大丈夫」、「洗濯って面倒くさいなあ」などどあれこれ考えながら、駅からの家路を急ぐ。徒歩10分。ちょっとした距離だ。ウチに着くと、買い物袋を地面に置き、鞄の中から鍵を取り出す。鍵を鍵穴に差そうとして、私はハッとするのだ。差し込めない!と。よく見ると、それはパスネットなのだ。私は、げんなりして今度は正真正銘のウチの鍵で、ドアを開けるのだった。私にとってパスネットもウチの鍵も、おんなじもの。要するに、これさえあれば「ひらけごま!」なのだった。残念なことに、この話には主人は理解を示してくれなかった。理解を示してくれなかっただけでなく、変人呼ばわりだった。それだけに、後になってした『タクシーの運転手に「ごちそうさま」』話に、「オレも」と言ってくれたことに安心したのであった。(by Anne)

実家に長らく居た猫アスチュが昨年死んじゃった。悲しかった。けれど、実家には新たに二匹の子猫がやってきた。一匹はやんちゃなニニ。もう一匹は御姫さまみたいな、サクラ。こちらは、もちろん!
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