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2009年9月21日 (月)

私の操、椿油

はっきり言って、私は、それはそれは誠実です。浮ついたことなど一度もありません。ええ、ええ、椿油一筋ですの。二十歳の頃から。ひと時も離したことはありません。しっかりと握りしめて、早17年!椿油。これが私の操です。
というわけで、私のこのやっかいな髪を整えるのに、大島椿の油の右に出るものはなく、月に1〜2本のペースで消費している。
出会いは二十歳の夏休み。パリから東京に遊びに来ていた最中に、その頃使っていた南国のオイルを切らしてしまった。パリで買って持って来ていたオイル。当時はそのオイルが一番私の髪質に合うと思っていたし、そのオイルがなければ私のやっかいな髪は酷い状態になると思っていたから、最後の一滴を使い果たした時には顔面蒼白だった。東京のどこでその南国のオイルを手に入れられるだろうか。今のようにネット検索が気軽にできる時代でなかったので、とにかく身近の誰かに尋ねるしかなかった。顔面蒼白の私の目の前には従妹が。「どこで見つかる?」と聞いてみた。従妹は、さあ?、といった表情を浮かべ、しばらく黙り込んだ後、「椿油ぐらいにしといたら?」と、今でも忘れもしない返事を返して来た。「ぐらいにしといたら」とは、要するに、南国のオイルの難点は、香りが強く個性的だったので、好き嫌いがあり、私はその甘ったるい香りが好きだったのだが、従妹にとってはそうではなかったらしい。椿油はほぼ無香。「多分、古い、今にもつぶれそうな薬局にだったらあると思うよ」、と従妹。早速私は、商店街に出かけ、何軒かまわった後、やっと一番繁盛してなさそうな薬局を見付け、入っていった。「すみません、椿油って、ありますか?」。奥からおばあちゃんが出て来た。「えーえっと、椿油ね、椿油。。。、椿油、どこだったかな、あ、ここだ」。おばあちゃんは腰を曲げて、商品棚の一番したの奥を探り、かなり埃をかぶった黄色い箱を私に渡した。私は千円札を差し出し、その埃まみれの黄色い箱を買って帰った。古くから存在するものだろうけれど、少なくとももうあまりポピュラーなものではないのだろう、ということは分かった。
なぜ従妹がそんな商品を知っていたのか不思議だが、とにかく使ってみたら今まで手放せなかった南国のオイルよりはるかに良い。おまけに容器がレトロで素敵だ。一度好きになったらそれはそれは誠実な私。もう、これでなくちゃ、となった。しかし、それから数年は苦労した。パリでは入手できないし、日本から送ってもらうにもやっかいで、今にもつぶれそうな薬局を見つけてもらわないといけなかった。年月が経ち、少しずつ、今すぐにはつぶれないだろう薬局にも、駅前の薬局にも、大繁盛の薬局にも、おしゃれなコスメコーナーにも、黄色い箱を目にするようになった。棚の一番下ではなく、棚のド真ん中に、埃まみれではなくピカピカな状態で。やはり良いものはちゃんと認められるのだ。
今でも棚にならんだ大島椿の黄色いパッケージを見ると、幼なじみがビックスターになったような嬉しさを噛み締める。その度に、私はメガホンを持って、「皆さん!聞いてください!私の古くからの友人です!ええ、ええ、とっても親しいんです!」と、叫びたくなるのだった。(by Anne)

大島椿
大島椿から出ているコスメ3本と椿油。『大島椿/アトピコ』のスキンヘルスケアのシリーズで、左からミストタイプのローション、スプレータイプのオイル、クリーム。一番右は、私の操、椿油。