いよいよ
いよいよこの日が来たか!とタクシーを降りた私は項垂れた。横で主人は「ひどいよ」と私に呆れてスタスタと家に入ってしまった。結婚記念日の晩のことだ。
結婚記念日のお祝いに夫婦で出かけたが、仲良くディナーの予定が夫婦喧嘩になり、帰りのタクシーでは離婚話までに発展し、タクシーを降りる頃には、翌日離婚届を区役所に取りに行くということに決まり、私は、いよいよこの日が来たか!と思った。という話ではない。2008年4月1日と2日のブログに書いたような、恐れていたことがおこったのだ。
結婚記念日だから、私たちがとても気に入っているイタリアンフレンチのお店、『vinoble』に食事をしに行った。最近、ただでさえワイン友達に影響されて、私はボルドー派からシャンパーニュ派に移行してきたというのに、オーナーに「今日はルイ・ロデレールがあります」と言われてしまっては、あのルイ・ロデレール クリスタル ブリュットのキラキラした世にも美しいパッケージングを思い出さずにはいられず、心をときめかせない訳にはいかなかった。「それにします」と速攻飲み物を決めた。もちろん出てきたものはクリスタル ブリュットではない通常のものだが、やや薄暗い照明に照らされて細かい泡がキラキラとグラスの中で上ってき、黄金の光を放っているのをみると、やっぱりクリスタル ブリュットのパッケージングさながら、美しい。つい気持ちが高揚して、最初からガブガブとシャンパーニュを飲んだせいだろうか。お店のお料理もとても美味しくて、大満足だったせいだろうか。結婚記念日だから調子にのっていたせいだろうか。お店を出る頃には、今思い返せばやや酔っていたのだろう。酔ってるつもりはなかったが、食後のコーヒーをすすりながら、オーナーに占いをしていたのを思い出すと、やはり酔っていたようだ。私が「似非ですが」と前振りをしておきながら、真剣な顔をして周りの人を占いはじめたら、酔いが回っている証。親しい人ならよく知っているコードだ。とはいえ、ヘベレケではありません。足取りもしっかり、そのまま主人とタクシーに乗って、家の前に到着し、普通にお代を払って、普通におつりを受け取り、冷静にレシートが手渡されるのを待った。ジーッ、ジーッという音を立てて出て来て、運転手さんにピッと切られたレシートを手渡されると、私は主人の後について降りようとした。勿論、運転手さんにお礼を言って。勿論、「ごちそうさまでした〜」と、言って。
タクシーを降りた瞬間、ハッとした。主人は「ひどいよ、大丈夫?」と呆れてる。タクシーを降りる時に「ごちそうさまでした」と言ってしまいそうになるのではなく、いよいよ、本当に言ってしまった日が来たのだった!あの、運転手さんはどう思ったのだろう。。。(by Anne)

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