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2008年7月 2日 (水)

いよいよ

いよいよこの日が来たか!とタクシーを降りた私は項垂れた。横で主人は「ひどいよ」と私に呆れてスタスタと家に入ってしまった。結婚記念日の晩のことだ。
結婚記念日のお祝いに夫婦で出かけたが、仲良くディナーの予定が夫婦喧嘩になり、帰りのタクシーでは離婚話までに発展し、タクシーを降りる頃には、翌日離婚届を区役所に取りに行くということに決まり、私は、いよいよこの日が来たか!と思った。という話ではない。2008年4月1日と2日のブログに書いたような、恐れていたことがおこったのだ。
結婚記念日だから、私たちがとても気に入っているイタリアンフレンチのお店、『vinoble』に食事をしに行った。最近、ただでさえワイン友達に影響されて、私はボルドー派からシャンパーニュ派に移行してきたというのに、オーナーに「今日はルイ・ロデレールがあります」と言われてしまっては、あのルイ・ロデレール クリスタル ブリュットのキラキラした世にも美しいパッケージングを思い出さずにはいられず、心をときめかせない訳にはいかなかった。「それにします」と速攻飲み物を決めた。もちろん出てきたものはクリスタル ブリュットではない通常のものだが、やや薄暗い照明に照らされて細かい泡がキラキラとグラスの中で上ってき、黄金の光を放っているのをみると、やっぱりクリスタル ブリュットのパッケージングさながら、美しい。つい気持ちが高揚して、最初からガブガブとシャンパーニュを飲んだせいだろうか。お店のお料理もとても美味しくて、大満足だったせいだろうか。結婚記念日だから調子にのっていたせいだろうか。お店を出る頃には、今思い返せばやや酔っていたのだろう。酔ってるつもりはなかったが、食後のコーヒーをすすりながら、オーナーに占いをしていたのを思い出すと、やはり酔っていたようだ。私が「似非ですが」と前振りをしておきながら、真剣な顔をして周りの人を占いはじめたら、酔いが回っている証。親しい人ならよく知っているコードだ。とはいえ、ヘベレケではありません。足取りもしっかり、そのまま主人とタクシーに乗って、家の前に到着し、普通にお代を払って、普通におつりを受け取り、冷静にレシートが手渡されるのを待った。ジーッ、ジーッという音を立てて出て来て、運転手さんにピッと切られたレシートを手渡されると、私は主人の後について降りようとした。勿論、運転手さんにお礼を言って。勿論、「ごちそうさまでした〜」と、言って。
タクシーを降りた瞬間、ハッとした。主人は「ひどいよ、大丈夫?」と呆れてる。タクシーを降りる時に「ごちそうさまでした」と言ってしまいそうになるのではなく、いよいよ、本当に言ってしまった日が来たのだった!あの、運転手さんはどう思ったのだろう。。。(by Anne)

ルイロデレール


2008年6月20日 (金)

呼気検査に思うこと/その2

(つづき)。従妹が呼気検査のとあるエピソードを話てくれたのは随分前になる。当時は、彼女の中でもとびきりのお気に入りエピソードだったのだろうと思うくらい、同じ話を何度も聞かせてくれたのだが、月日が絶つにつれ、その話もたまにしか耳にしなくなり、あげくの果てには最近めっきり聞かなくなったのだ。それと同時に私の単細胞な記憶装置からもさっさと姿を消し、今ではその残骸のようなものしか残っていないのだ。だから、ここで一昨日前のブログの『つづき』を書こうにも、十分な要素がそろっていないため、大ざっぱな話しかできない。それでは困ると思って、昨日従妹に確認を取ろうと思ったのだけど、時間が無かった。とほほ。だから、やっぱり大ざっぱな話だけになってしまう。
ある晩、従妹の友人が車でとあるパーティーに出かけた。お酒を飲まないつもりで出かけたのだが、ついつい飲んでしまった。飲んでしまったからには運転して帰るわけにはいかない。それなら、車は翌朝取りに来るとして、その晩は一杯だけとは言わず、好きなだけ飲むことにしたそうだ。深夜近くなって、彼はタクシーを拾って帰宅した。少し酔ってはいたものの、泥酔というわけではなく、翌朝の出社前に車をピックアップする余裕をみた目覚ましセットをした。そして翌朝、早朝。目覚ましが鳴ると同時に起きた。睡眠は十分取った。二日酔いの毛もない。彼は大崎の会社に行く前にパーティーがあった麻布へ向かい、高い駐車代を渋々払い、車を会社へと走らせた。途中でちょっとした渋滞にハマった。なにかと思えば、検問らしい。仕方ない、さっさと検査して、早いとこ会社に行かないと。そう思った矢先に警察がウィンドウをコンコンと叩いた…。
従妹のその友達は呼気検査の結果、なんと前の晩のお酒で酒気帯び運転で捕まったのだという。一晩寝て、しかも二日酔いでもなく、それで捕まるなんて。では私達は一体いつお酒を飲めばいいのか?運転する3日前から禁酒、とか?そんなことだから、納得がいかない、と言って従妹は警察へ乗り込んでしまった。「友人にこのようなことがあったので、私はお酒をのんだらどのくらいの時間を空けなくてはいけないのかチェックさせてください!」しかし、警察ではみんな首を横に振って、それはできないと言う。おまけに「分からなければ、飲まないことです」なのだそうだ。(by Anne)

2008年6月18日 (水)

呼気検査に思うこと/その1

数日前に『趣味の良いチンドン屋』からメールが届いた。久しぶり、良かったら明日ディナーしないか、プレゼントもあるし、という内容なのだが、絵文字は炸裂しているし、言葉はハイパーで、明らかに様子がおかしいのだ。最後に「今グレープジュース買ったつもりが赤ワイン煮でなーかよっぱらってい!」とある。葡萄ジュースかと思ったらワインだったということなのか、なんなのか、とにかく酔っぱらってるんだな、ということは分かった。何を飲んだのか尋ねてみると、『世界のKitchenから マセドニアグレープ』というジュースだと言うので、私は呆れてしまった。スペインのサングリアをモデルに、果物をワインで煮込んで作った、アルコール飲料ではなく、ノンアルコール飲料だそうで、それを飲んで酔っぱらったというのだ。日々酔っぱらいのような発言が絶えない彼女なのだが、実はアルコールアレルギーと言えるほどお酒に弱く、たまに注文するカシスソーダでさえ、「カシス少なめでお願いしますね」と念を押す程なのだ。普通のカシスソーダでは、笑い上戸になって手に負えなくなるからだ。本当に微量でも酔っぱらってしまうのは知っていたが、ジュースでもとは驚きだ。そんな魔法のドリンクを飲んでみないわけには行かないと思った私は、高級スーパーマーケットでしか手に入りそうもない、『世界のKitchenから マセドニアグレープ』とやらを、「じゃあ、今度会う時私にも買ってきてくれる?」とお願いしたのだった。千円ぐらいするジュースだろう。私はお札を封筒に入れて、当日『趣味の良いチンドン屋』に会った。「そうそう、あれ、買ってきてくれた?」早速催促した。すると、「持ってきたわよ、これー」と出されたのは、なんと小さなペットボトル。高級スーパーマーケットどころか、コンビニでも自動販売機でも買える。用意したきた千円札が入った封筒のことはすっかり忘れて、そのちいさなペットボトルを舐めるように観察した。確かに『ノンアルコール、果汁30%』と書いてある。そういえば、アルコール度1%未満なら、酒税法で酒類と分類されないんだった。ワイン煮というジュースであるからには0,02%ぐらいは入っているのかもしれない。その微々たる量に反応した『趣味の良いチンドン屋』と、ワイングラス2杯ではまだ素面も同然の私とでは、どちらが危険な運転をするだろう?勿論飲んだら絶対運転しないが、想像してみると明らかに、前者だろう。運転免許書を更新する際に、アルコール反応検査のようなものを義務づけて、各自がどれだけの量のアルコールに対して反応するか知るべきだと思う。そういえば警察が酒気帯び運転取り締まりの際に行う呼気検査について、納得がいかないと以前従妹と話たことがあるのを思い出した。つづく。(by Anne)

マセドニアグレープ
『世界のKitchenから』シリーズは結構好き。この葡萄ジュースは、まだ大切に冷蔵庫の中でとっておいてある。一体どんな味なのかしら?

2008年5月 8日 (木)

嫌酒家への果たし状

GW中、東京から友達が挙って軽井沢に来ていたので、夕食後ちょっと会いましょう、ということになった。昔からみんなが集まるカフェバーに20時半頃行くと、すでにみんな集まっていた。カフェオレだとか紅茶だとか飲んでいる。カフェというよりバーのイメージが強い私は、というより、ワインが好きな私は、躊躇せず白ワインを頼んだ。するとほんの少し、「ったく、KY(今ハヤリの空気読めない)なんだから」という視線が向けられている気がした。そういえば、友達のうちのひとりは、お酒を飲む人の事を軽蔑する傾向にあることを思い出した。嫌煙家というのは聞いたことはあるが、改めて嫌酒家が存在することに驚いた。しかも私の目の前に。よくぞ私と一緒に何度もディナーができたなあ、と関心する。ワインを嗜むことの罪悪感を、逆立ちしても抱けない私は、「フン!」とムキになって、ちょっと挑発してみようと、果たし状を送るべく、こう言った。「この間、従姉と2人でマグナムボトル1本空けちゃった!」。この発言をワインスクールの旧クラスメイト達に言ったとしても、暖簾に腕押し。ひとりワイン1本ぐらいあっという間に飲んでしまう彼らは、「それがどうした?」レベルの無関心な返事しか返せないだろう。マグナムボトルとは通常のワインボトル2本分だから。ところが、嫌酒家はまるでアル中の廃人を見るような目で私を見て、「ヤバイよ、それ」と言った。どうやらショックを受けたようだった。しめしめ。私は、勝利の旗を掲げたいと思った。しめしめ。おまけに飲んだのは、『Ch. Mouton Baronne Philippe 1981』。昔のch. d'Armailhacだ。超美味しかったんだから!
実はこれ、ウツボを食べる時に従姉と開けて、空けたワインだった。土佐の珍味だから、土佐のお酒をと思い、ウチの倉庫をひっかきまわしてみたが断念した。和尚様が以前に送ってくださった、司牡丹の『深尾』がまだあると思ったのに。そこで、結婚祝いで人から頂いたこのマグナムボトルを出したわけだ。ボルドーワインと八つ目鰻は合うそうだ。ウツボもイケるだろう。そう思って。でも実のところ、ウツボは日本酒が一番合うだろうし、白ワインだったらソーヴィニョン・ブラン系のものが合うだろうという結論に達した。そしてワインは食後にゆっくり楽しんだのだった。それにしても、この『Ch. Mouton Baronne Philippe 1981』、グラスに注いだ途端に、はっきりとした、カシスリキュールの香りが食卓に充満した!81年なのに元気ハツラツ。それでも味わいはまろやかで、舌がビロードに包まれるよう。ああ、そうだ、カシスとは、こんな香りだったわね、と再確認したのである。(by Anne)

ダルマイヤック81
旧Ch. d'Armailhacの『Ch. Mouton Baronne Philippe 1981』。ボルドー格付けは5級。ウチの結婚祝いに頂いたものだから、主人も少し飲んだが、あとは全部酒豪の従姉と私で飲み干した。酒豪とはいえ、従姉は最後、同じ話を3回繰り返していた。

2008年3月 3日 (月)

酒癖の愛嬌

先週、延び延びになっていたワイン会の新年会をやっと行なった。やりたい気持ちはみんな満々だったが、音頭取りの立候補者がなかなか出なかった1月、ワイン仲間の『バブル嬢』から連絡があって、2人で恵比寿の『KIORA』でディナーすることになった。ちょっとワインを飲みに行こうという話から始まった筈が、どうせなら美味しいもの食べましょう、という結果になり、私の意見もほとんど聞かず予約を入れてしまっていたのだった。ところが、お食事はとても美味しいし、ワインリストはイタリア系メインでとても充実しているし、おまけにスマートなソムリエさんにサービスして頂いたから、最初から嬉しくなることづくしだった。即、ワイン会の新年会はここにしよう、と決めた。決めてからソムリエさんに、ワイン会ができるかを聞いた。要するに、何が何でもやらせてもらうつもりだったのだ。でもすんなり快い返事がもらえて、ワイン持ち込み料は1本につき2千円とのことだった。2人で2本空けて、デザート代わりのデザートワインに移った頃、「じゃあ、私が幹事やるわね」と立候補した。するとバブル嬢は、「ええ!だってアンちゃん、お酒飲んでる時の約束は片っ端から忘れちゃうでしょ、だからきっと明日忘れてるわよー」と、私を睨んだ。確かにそうなのだ。私の酒癖は、似非星占いをし始めることの他に、口約束を忘れる、というのもあった。以前にバブル嬢と飲んでいた時に、「私のいらない浴衣、あげるわね」と言ったそうなのだが、次に会った時にはすっかり忘れていたそうだ。多分彼女は相当がっかりしたのだろう。ワインを飲みながらは、もう二度と私と約束はしない、と固く誓ったに違いない。そうと分かってはいながら、こうもはっきり「忘れている」と断言されると、私の僅かな「ナニクソ精神」が爆発した。絶対に幹事を担当するのだ!私はスケジュール帳を広げ、「ワイン会、みんなにメールする」とメモした。くそぉ!そういえば、『アイドル』にもそんなことを言われた。これまたワイン友達だが、ワインの講師も務めている美人さん。彼女は、結構ワインが入ってくると、そのほんわかした表情からは想像もつかないくらい、厳しい発言をすることもある。冷静で現実的な意見。とらえかたによっては感じが悪い。っていうか、相当感じ悪いと思う。その感じの悪さが可笑しくて、私はそれをネタに退屈しそうな時には思い出しては楽むこともあるくらいだ。
それは、秋頃にアイドルともう一人のワイン仲間の『ビー玉』と3人で4本飲んだときの事。いくらお酒に強い私たちも結構酔っていた筈だ。私がワイン会の忘年会をセッティングするわね、と提案したら、いかに幹事が大変かをアイドルは滔々と語った。まるで、「あなたにできる筈はない」と言わんばかりの、ものすごい剣幕で。可笑しかった。でも、そんなに無理だと思うなら、見てろよ!とこの時も僅かな「ナニクソ精神」が騒いだのだった。そして無事忘年会も済ませ、今回の新年会の幹事も「ナニクソ精神」がゆえに私が担当し、開催できた。アイドルが登場すると、私は「あなたに出来る筈がないと言われたから、見返すために頑張ったわ」と言ってみたが、彼女はキョトンとして、「え?私そんな事言ってないわよ」だった。飲み過ぎていない彼女は至って感じ良い笑顔。あれ?そうだったかな?まあ、いずれにしても酔ってる時の話は半分夢物語とするべきなんだろう。
それにしても、無事ワイン会を開催できたことで満足してしまった私は、最後の最後で気が緩んでしまった。計算が苦手な私が集計をしようとして、モタついてしまったのだ。バブル嬢が見かねて「私がやるわ」とバトンタッチ。そういえば、私の酒癖は、似非星占いをし始めることと、口約束を忘れることの他にもう一つあったのだ。計算が全くできなくなることだ。こればかりは改めよう。そして、きちんと集計してくれたバブル嬢は、レストランに携帯を忘れて帰って行った。酔うと忘れ物をするのは彼女のお決まりコースだから。でも携帯ばかりは、忘れたことを彼女に伝える手段がない。(by Anne)

ch.Grand Puits Lacostes
ワインスクールの旧クラスメイトでカップルが誕生した。単なるカップルではなく、結婚を控えたカップル。お祝いにアイドルがセレクトした、ポイヤックのシャトー・グラン・ピュイ・ラコストで乾杯した。後の新婦のバースデーヴィンテージで、1978年。香りは、程よい熟成香、樽の香り、それに後から、なんともいえない華やかな香りがひろがった。味わいはまだまだ元気。ポイヤックの美味しさって、このくらいからだな、と思うのだ。

2007年11月26日 (月)

ワインボケ症候群/その2

(つづき。)ボジョレー会を開くからと、『フェロモン』から一斉メールがきた。『フェロモン』とは、ワイン会で隣に座ると男であれ女であれ必ず手を膝に置いて、気のある風を装う、イタリア人も顔負けの色女だ。メールには、今回集まるメンバーと場所と時間が記されてあり、最後に「誰か誘いたい人がいたら、適当に転送してネ」と加えてあった。メンバーのリストを見ると、仲の良い数人が欠けている。きっとフェロモンは、彼らのメールアドレスを持っていなかったんだ、と思って、私はこう返事を送った。勿論、全員へ返信で。「Sちゃんと、M君と、Tちゃんにも声かけても良いかしら?」。しかし待てど暮らせど返事は来ない。翌日になってやっとフェロモンから「Sちゃんには声かけました」という返事が来た。しかし、それだけ。M君とTちゃんに関しては一切触れていなし、他のメンバーからの連絡もない。当日になってもまだない。おーい、誰か!返事してくれぇ!でも、ない。これは、何かあったに違いない、と私は思った。メンバーの誰かが、M君かTちゃんと喧嘩をしたか、顔を合わせたくないか、いずれにしても気まずい事が起こっているに違いない。こんなこともあるものだなぁ。それにしても珍しい。この旧クラスメイトのグループはみんな仲が良くて、というより、恐らくワインを一緒に飲めさえすれば楽しくなっちゃうような単細胞の集まりだから、もう3年になる付き合いだけど、未だに誰かと誰かの不仲説を耳にしたことがなかったのだ。まあ、人間だから、たまには顔合わせたくない気持ちになるものよね、と納得して、残りの2人には声をかけず、私はボジョレー会へ出かけた。レストランに着くと、奥からフェロモンが手を振って合図をしてくれた。私はコートを脱ぎながらみんなを見回して、「ね、ね、何かあったの?」と聞いた。「何かって、何?」とフェロモン。「喧嘩したの?」と私。みんなキョトンとしている。「M君とTちゃんにも声かけて良いかって聞いても、誰からも返事なかったから、だからきっと、と思って誘わなかったんだけど」と伝えた。「えぇー!」みんなは目を丸くして私を見つめた。てっきり私から連絡が回っているものだと思っていたそうだった。私の質問が、あまりに当たり前すぎたのだった。せめて「良いに決まってるじゃん」とぐらい返事をしてくれても良かったのにぃ、とブーブー言ってみた。「まあ、まあ、」という声が聞こえて、私にボジョレーが注がれた。これを待ってました!私はにっこり。まったくみんなワインを飲む事しか頭にない、ワインボケ症候群に違いない。
とはいえ私も、そんなことを言って呆れていれる立場じゃない。先日、勝沼へ行った帰りのこと。勝沼にホレ込んで、大量のワインを買ってしまったから、カメラマンさんが車でウチの前まで送って下さった。夜八時。私は車から降りると、カメラマンさんと一緒にワインを家に運び、全部間違いなく運びきったかを確認をした。うん。確かに全部ある。私は、彼に深々とお礼を言って、走り去る車に手を振った。さてと。どれを人にプレゼントしよう?どのワインから飲もう?私はボトルを並べて、勝沼の葡萄畑を思い出しながら、あれこれ考えていた。するとピンポーンとベルが鳴った。こんな時間に誰だろう?もう九時過ぎだ。私はインターフォンに出て、「はい」と冷たい口調で言った。聞き覚えのある名字が聞こえた。誰だっけ?思い出すのに数秒かかった。あ、カメラマンさんだ。ワインのことで頭がいっぱいで、彼の名字もすぐに思い出せなかったことに可笑しくなって、半分笑いを堪えながら、玄関のドアを開いた。思わず私は吹き出した。目の前に、私の旅行鞄が置いてあるではないか!私は、自分の旅行鞄をすっかり車の中に忘れて、そのままウチに帰っていたのだった。「僕も気付かなかったよ。ワイン運んだら安心しちゃってね」と、カメラマンさん。一本も残さず運ばなきゃって、必死になって。この季節、みんなしてワインボケだ。(by Anne)
カベルネ・ソーヴィニョン
勝沼から少し離れた万力という所にある畑のカベルネ・ソーヴィニョン。金井醸造場の金井さんが育てたものだ。ビオ。一人で収穫から販売まで手がけているから、収穫しきれないこともあるのだそう。まだ枝にぶら下がっていた。葉っぱがまばらに赤く染まっていて綺麗。

2007年11月22日 (木)

ワインボケ症候群/その1

季節がらか、いつにも増してワインを飲む機会が多いこの頃。昨晩も、ワイン学校の旧クラスメイト2人と共に、あっと言う間にシャンパーニュを2本空けてしまった。旧クラスメイト2人とは、「アイドル」と「ビー玉」。「アイドル」は初級のクラスで一緒だっただけで、ひとりだけあれよという間にソムリエ試験のエキスパート資格を取得して、みんながモタモタと受験勉強をしていた最中には、すでにワイン学校の講師になっていたという、トロリとしているのは見た目だけの相当な頑張り屋さんだ。トロリとして儚げな雰囲気の美人。アイドル的な人気講師にとうとうなったらしいよ、と旧クラスメイトの間で噂をしている。「ビー玉」の方は「私はワインを楽しみます」主義に徹底して受験はせず、みんながシャトー名を暗記していた最中には浴びるようにシャンパーニュを飲んでいた、大の泡好き。大きなビー玉のような美しい眼を輝かせて、誰の話にも丁寧に相槌を打つ彼女を見ると、まるで「ナントカの品格」のお手本だわ、と思うのだ。当然メンズからのお誘いは絶えなかったが、「彼がいなくて本当に困ってるんです」と丁寧に告白する彼女に、みんなで「ウソだァ〜!」と反応した覚えもある。一体どんな彼ができるのだろうとみんなの注目の的だった。その彼女が今年結婚をした。「意外!」だとか、「やっぱりね!」だとか、みんな好き好きにコメントしたが、そろって祝福した。昨晩はご主人の留守中に、「ビー玉」が新居でシャンパーニュでも飲みましょうよ、と招待してくれたのだった。日時を決めるべく、「アイドル」と「ビー玉」と私で、携帯のメールのやり取りをし始めたのだが、私は散々な目に合った。「うちにあるシャンパーニュを飲んで、それから外にでも食べに行く?」と、ビー玉。「そうね、シャンパーニュは良いのがあるから持って行くわ」と、アイドル。「じゃあ、私はクラッカーとかイチジクとかを持って行くわね。で、何時にどこへ行けば良いの?」と、私。「クラッカーやイチジクはあるから大丈夫よ。じゃあ、シャンパーニュ2本飲むことにしましょう」と、ビー玉。「あら、じゃあ、シャンパーニュはお二人に任せるので、あとでワリカンね。で、何時にどこ?」と、私。「藁に包まれたとっておきにシャンパーニュなの。お宅拝見できるの楽しみにしてます」とアイドル。「準備は十分できないけど、お腹空いたら適当にしましょう」と、ビー玉。「素敵!適当にしましょう。で、何時にどこ?」と、私。何時にどこ?何時にどこ?何時に…?一体私は何時にどこへ行けば良いの?おーい!だれか答えてくれぇー!私は途方に暮れた。何度メールを2人に送っても、返ってくる返事は飲み物とおつまみと食事の事だけなのだもの。その返事は昨日の午後になって、ようやく届いた。そういえば、先日ボジョレー会をやった時も私は散々な目に合った。つづく。(by Anne)
アンドレ・クルエ
アイドルが選んだシャンパーニュ。『アンドレ・クルエ ブジー 1911』。20世紀最高のシャンパーニュの当たり年1911年にちなんで、当時風のパッケージングをほどこして藁に包まれたもの。中身は90年代のブレンドで、ピノ・ノワール種だけで造った、ブラン・ド・ノワール。と、コメントしてくれた。ビー玉お手製の、イタリア風クラッカーと共に。


2007年11月14日 (水)

灯台下暗し

灯台下暗しとは、良く言ったものだと思った。日本には本当に素晴らしい醸造家が居て、素晴らしいワインを造っているんだ、と知ったのは、勝沼へ行ったから。やっぱりフランスワインが好き、と常々思っていた私に、新しい風が吹いたのだ。ワイナリーを巡って、2日間でおそらく60種類以上のワインをティスティングした。どれも、それぞれ美味しかったし、印象に残ったものは沢山あった。例えば、日本のワインの色合いって、時々蛍光色のようなものもある。見慣れていなかっただけに、金井醸造場の金井さんが注いでくれたワインを見て、内心、ギョッとした。ロゼでも、蛍光ピンク色だ!「これはね、ちょっと変わっていて、ピオーネから造ったんです」という彼に、私は眉間に皺を寄せまいと必死。食用の品種からワインを造ることさえ、フランスワイン贔屓だった私は、邪道なんじゃないの、と思ったからだ。無知のくせに偉そうに。香りも葡萄ジュースみたいに甘ったるいに違いない。恐る恐る鼻を近づけてみた。「あ?ふーん!良い香り」。たしかに甘いピオーネらしい香りはあるけれど、ほのかに香る程度で、オレンジのような柑橘系の香りもしたのは以外だった。味わってみると、びっくり。「何コレ、美味しい!」私は即座にこの『caney』というワインを購入した。そしてウチに戻ると早速開けてみた。やっぱり一口一口が味わい深い。全くの辛口ワインで、口に含むと、ほんのわずかにフワッと巨峰の果実の甘い香りが上ってくる。一口一口があまりに美味しいので、あっという間に一本空けてしまった。お隣の県にこんなワインがあるなんて。多分、私が今までに飲んだロゼの中でダントツ一番だ。なにもバントールやアンジュを買わなくてもいいのかも?(by Anne)
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『caney カネーロゼ 2007』金井醸造場にて。1600円。

2007年10月 2日 (火)

オコリンボ

月に一度のレディース・デイズのせいよ、ってことにしておこう。私は時々、ブリブリブリブリ怒ってることがある。いったん頭に血が上ると、どんどんカッカッして、口はヘの字に、鼻息は荒く、肘を張り出して、ブリブリ怒り、クールダウンの術もなく、次第にスカートの皺や本の並び方まで、とにかくなんでもかんでも気に入らなくなる。一体何で怒っているのかさえも忘れてしまっても、なお。しかし、そんなオーバーヒート寸前の私が、一気に機嫌が良くなる魔法があった。それは、オーストラリアにロケで行ったときの事。私の撮影だけ早く終わったので、先にホテルに戻って休もうとした。炎天下だったから結構疲れていたみたいで、早くシャワーを浴びて横にになりたかったのだ。ホテルに入ると、大きなホールがあって、フロントは遥か彼方にデンとある。マンモス・ホテルだ。私は怠さを、もう少しだからねと励ましながら、フロントに辿り着いた。鍵を受け取り、今度はまた遥か遠くのエレベーターまで、歩いた。エレベーターでかなり高い所まで上り、降りると今度は目の前に長い長い廊下がある。その突き当たりにある私の部屋まで、気が遠くなりそうになりながら歩いた。ようやくドアの前に着き、カード式の鍵を差し込んだ。ふう。やっとこれで休めるわ。と思ったのも束の間、ドアは開かない。エラーランプばかりが点滅している。空かさず、カーッと血が頭に上った。エントランスからホール、フロントからエレベーター、そして長い長い廊下。客にこんなに歩かせて、それで開きませんなんて、けしからん!私は口をヘの字にして、鼻息を荒くして、肘を張り出し、元来た長いルートを、先ほどの怠い足取りとは打って変わったスピードで引き返した。エレベーターが一階に下りドアが開くと、鼻からプシューと息を出し、行くわよ、と汽笛を鳴らし、ブリブリブリブリ、機関車のようにフロントに突進した。最高な嫌みで最高に感じ悪く、クレームを言おう!しかし、ここはオーストラリア。英語で巧みな嫌みなんてとても言えない。くそぉー。仕方なく私は、カード式の鍵を振り上げ、出来る限り怖い顔をしてみせ、出来る限りの低い声で、「イットゥ、ダズントゥ、ウォーク」と言った。しかし、フロントの兄ちゃんは怖じ気付きもしない。蔓延の笑みで軽々しくsorryと言い、私に別の鍵を差し出した。微笑み返してやるもんか!本当に怒ってるんだから!と瞳を目の隅に押し込んで、睨んでみた。そしてまた部屋までの長いルートを辿らなければならなかった。部屋に入り、やっと、ベットの上で横になれたと思った途端、ブザーが鳴った。穴から覗くとホテルマンが立っている。なに?またなにか?ドアを開け、私はまたもや怖い顔を作りホテルマンを見上げた。「先ほどは失礼しました。これ、チョコレートです。お召し上がり下さい」と差し出された。私の顔が見る見るうちに綻んだ。ホテルマンは私のその、現金というより単純な態度をしっかりと見て、帰って行った。ドアを閉めると、早速包みをビリビリ破いてチョコレートをつまんだ。うーん!美味しい!すっかり機嫌は直っていた。美味しい食べ物さえ与えられば文句なし、ダ!(by Anne)

MasLaval 2004
先日、ブリブリ怒っていた私に、下戸の主人がカンで選んでプレゼントしてくれたワイン。美味しいものを目の前にすると、ケロッと機嫌が直るのは我ながら不思議だし、主人も既に十分把握しているようだ。原産地統制名称ワインではないが、ピノ・ノワールベースのブレンドで、南仏にありがちなボテッとした味わいに仕上がっていなくてエレガント。酸味も渋みもまろやかで、優しいビロードのような味わいに、心も穏やかに。Mas Laval 2004。ヴィノスやまざきにて4500円。

2007年9月12日 (水)

UFOが見たければ

この間、UFOを見た。UFOなんて、遠いどこかの国の有名スポットに行かないと見れないと思っていたし、そもそも、そんなもの存在するのか半信半疑だったから、東京で、しかもウチで、こんなことが起こるとは想像もしなかった。ウチの寝室には天窓がある。ブラインドを開けてベットに寝っころがると、お天気の良い夜にはお月様やお星様が見えるのだ。「夜空のキラキラを眺めながら、主人と色々な話をして寝るの。ウチのロマンティック・スポットよ。」なーんて言うと、私の友達たちはみんな天を仰いで、シラケきってしまう。「ごちそうさま」、なんて言われちゃうから、「ちょっと待ってよ、話は終わってないのよ」と慌てて惚気話でないことを付け加える。「UFO見たのよ。そのロマンティック・スポットが、UFOスポットだったのよ。」すると、下らない惚気話を聞かされると思っていた友達たちは、そうじゃないと分かって身を乗り出してきた。これが、最初っからUFOの話をしようとしたら、きっと気が変になったのね、って聞いてもくれなかっただろう。惚気話は案外使い道があると、その時分かった。そうなのだ。その、夜のキラキラが見れる天窓に、UFOが。ある晩、あのパトリス・ジュリアン氏も来る、フレンチ豚料理店で食事をした時のこと。骨董通りの裏にあるこのお店は、雰囲気もお料理もフランス家庭料理店に徹していて、ワインのセレクトもバッチリだし、とにかくとっても気に入っている。こうして書いてるだけでもウキウキするのだが、その日もアンドゥイエット(腸詰め)の大きなお皿が目の前に置かれ、モルゴンを注いでもらった時から心が踊り、心が踊れば友達との会話に拍車がかかり、女三人でモグモグワイワイゲラゲラ、と姦しかった。さすがにお酒を飲まない1人は、姦しくしても分別が残っていたらしく、終電に合わせてそそくさと帰ったが、残った私ともう1人、要するに飲んベエ2人は、終電そっちのけで、デザートメニューを見る代わりにアルコール・リストを見ていた。いや、見もせず、コニャックをたのんだんだった。友達の仕事の話をしていたような気がするが、とにかく話に花が咲いて、調子に乗ってコニャックも3杯位クピクピ飲んだ。それでもあんまり酔っぱらっている感覚はなく、ウキウキした楽しいテンションのままタクシーに乗って家に帰った。夜中の2時ぐらいだったかな。主人を起こさないようにそーっと、真っ暗な寝室のドアを開けた。すると、「あ、不良が帰って来た!」と主人の声。なんだ、起きてる。「楽しかったよー!」と言うと、「どんな話してきたの?」と興味を示された。だから、こーんな話してね、あーんな話してね、それでね、それでね、と言っていたら口を塞がれた。相当大きな声を出していたらしい。やっぱりけっこう酔っぱらってるのかな。最後にコニャック3杯だものね。あー、今日もお星様が見えるなー、キラキラして奇麗だなー…。そんなことを思いながら、ぼんやりと天窓を見ていた。すると、あれ?おかしい。お星様なのに変な動きする。あれ?まさか、まさか!「えー!?えー!?おかしい、おかしい、おかしいよー!こんなことってある?」。大騒ぎだ。主人に「シッー!シッー!」と言われ、声のボリュームを下げようと心掛けながらも、大声で懸命に説明した。UFOではないかと。いくら意識を集中させて目を凝らして見ても、奇妙な動きをする二つのキラキラがある。やっぱりおかしい。やっぱりおかしい。私があんまり言うので、視力に自信のない主人は望遠レンズ付きのカメラを持ってきた。そして私が言ってるそのキラキラに焦点をあてて観察し始めた。しばらくすると、大きなため息とともに主人はカメラを置き、電気をつけ、私の顔を覗き込んだ。「相当飲んだだろう?」と言われて、そうかな、と思いながら「で、UFOは?」と聞いた。「何言っちゃってるの、目がくるくる回ってるよ」。そっか。UFOが見たければ、何も遠くへ行く必要はない。〆にコニャックを3杯飲むと良いのだ。(by Anne)

cognac
35年も熟成されたグランド・シャンパーニュ産コニャックのプルミエ・クリュ。レアもの。まろやかで豊かな香りがポワンポワンとして、一口飲めば、また違った華やかな香りが鼻の奥に広がる。かなり熟成香があって、最後に漢方のような香りが残る。長く、長く、香りを楽しめるのが、コニャックの醍醐味。アルコ−ル度は40度以上。うっかりしていると、UFOを見ます。

marc
こちらも同じく蒸留酒のマール。別名、『UFO酒』です。グラッパとおなじように、原材料は葡萄の絞り滓。でも色は、琥珀色だし、香りもずいぶん違う。良いものはカスタードプリンを焦がしたような、クレーム・ブリュレを思い出すような、美味しーい香りがする。だけど味わいは、とっても辛口で、むしろ苦みを感じることもある。マールの産地としてはブルゴーニュが有名だけど、これはアキテーヌ地方のもの。珍しい。
2本とも、Bar L'Atelierで。

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